【若手理学療法士は必読!】成果を出すスキルアップの考え方【NGスキルアップも解説】

「なんでその資格とったの?」
「何のための勉強なの?」
まさに資格を取ること・勉強することが目的になっている後輩たちをたくさん見てきました。
どんなことでも学んでいけば、いつか役立つことはあります。しかし、ただがむしゃらに学んでいても成果は上がりにくいでしょう。
なぜ、理学療法士にとって特に「目的」が重要なのでしょうか。それは、私たちが学ぶべき範囲が、運動器から内部障害、神経難病、小児、そして終末期までと、あまりに広大だからです。目的という『羅針盤』がなければ、この広大な知識の海で、ただ情報を集めるだけの“漂流者”になってしまうのです。
この記事では、経験年数3〜6年目の若手理学療法士の役に立つ、成果の上がるスキルアップの考え方【目標・目的を定めて、その方向性に沿って行動する】を基本として。
3つの方向性に分けて解説します。この記事を読めば、自分に合ったスキルの磨き方が分かります。また、陥りがちなNGスキルアップについても解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。

10年以上を管理職として、後輩の指導・相談に携わってきました。その中で「方向性に迷っているなぁ」と感じる後輩も多く見てきました。
その時、一緒に考えてきた内容を紹介します。
【スタート前】なぜ、スキルアップするのか?

ここが、一番重要です。自分の気持ちに正直な目的を考えてください。この目的こそが、あなたが得たい「成果」になります。
- 患者さんにより良い医療を提供したい
- もっと収入を上げたい
- ワークライフバランスをとりたい
自分自身の本当の理由を考えてください。それによって、取るべき行動が変わります。これは、ゴール設定です。ゴール(目標)が変われば、方向性も変わります。リハビリを提供している皆さんにとっては当たり前のことですが、自分のことになると、このゴール設定を忘れてしまう人が多いのです。

リハビリサービスを提供する時には、ゴール設定は重要ですよね?学校や実習でも基本として習います。
ただ、自分のことだと、ゴール設定をしない若手理学療法士が多い印象です。
3つの方向性の関係性について
これから「専門性」「収入」「ワークライフバランス」という3つの方向性を解説しますが、これらは独立したものではありません。「専門性を高めた結果、希少価値が生まれ収入が上がった」「ワークライフバランスのために業務効率化を追求したら、それが新たなスキルになった」というように、互いに影響し合います。そのことを念頭に置いて読み進めてください。
1. 専門性アップ型のスキルアップ

理学療法士としての専門性を高め、臨床能力で成果を出したい人はこの方向性です。
- 分野の例: 運動器・循環器・脳血管・小児・産業保健など
- 技術の例: 川平法・SJF・AKA・ボバースなど
臨床では、様々な知識を持つことで応用が効くようになります。自分の興味のある分野や、臨床で役立つことを積極的に学んでいきましょう。
▶︎ NGスキルアップ!:資格コレクターで終わるな
資格コレクターになっていないか要注意です。本当にNGなのは、資格取得がゴールになり、その知識や技術を「目の前の患者さんに還元する」という本来の目的を見失ってしまうことです。 学会発表はあくまで手段の一つ。大切なのは、学んだことをどう臨床に活かし、患者さんの人生に貢献できたか、ということです。
▶︎ おすすめの方向性
- 現場で見る機会の多い疾患について勉強する
- 理学療法士協会の研修会で知識を深める
- 認定理学療法士の資格を取得する
若手であればあるほど、理学療法士協会主催の研修会が良いでしょう。費用・内容ともに信頼できます。民間の研修会も良いですが、玉石混交なのも事実です。信頼できる先輩からの口コミを参考にしたり、講師の実績をしっかり調べたりと、研修会を「見極める力」もスキルの一つです。

私も少なくとも、150万円以上かけてさまざまな研修に参加してきました。その中でも、合う合わないがあります。でも、少しでも気になったら、参加した方が良いと思いますよ!
2. 収入アップ型のスキルアップ

収入を上げるための具体的な方法を解説します。ポイントは、「長く勤める」「昇進する」「転職する」「副業する」の主に4つです。
▶︎ 年次昇給で上げる
自分の今とこれからの昇給額を知っていますか?
仮に年次昇給3000円、ボーナス3ヶ月とすると、年間の手取り増加額は約35,000円です。この伸び方に満足できない場合は、他の選択肢も考えましょう。
▶︎ 長く勤めるためのスキル
長く勤めて評価されるには、コミュニケーションスキルはもちろん、**「後輩を指導する力」や「日々の業務を改善しようと提案する力」**といった、組織への貢献意欲を示すスキルが重要になります。
▶︎ 転職で上げる
収入アップのためには「どこで働くか」が重要です。私自身も、介護福祉士から理学療法士に転職して収入をアップさせてきました。ただし、転職には「こんなはずではなかった」という人間関係や待遇面でのリスクも伴います。だからこそ、やみくもに行動するのではなく、情報収集や専門家であるエージェントへの相談が有効なのです。

身近に転職について詳しい人は少ないと思います。
同僚・家族・上司などにも相談しにくい内容だと思います。
そんな時は、転職の専門家「転職エージェント」に頼るのが近道です。
▶︎転職のためのスキル
- 履歴書を書く
- 面接を受ける
- 転職先を探す
これらの転職のためのスキルは、自分で勉強しにくいと思います。
転職エージェントでは転職先を探してくれるだけではありません。伴走して、一緒に考えて技術向上のフォローアップもしてくれます。
転職について詳しく読みたい方はこちらの記事をご覧ください。
▶︎ 管理職で上げる
管理職を目指すのは、収入アップの王道です。実際に私の場合は手当等で収入は安定的に上がりました。反面、例えばスタッフ間の意見調整で板挟みになったり、自分の臨床時間が減ることへの葛藤など、新たな種類のストレスも覚悟する必要があります。
▶︎管理職になるためのスキル
管理職になるには運も必要です。でも、管理職に選ばれないダメな行動はあります。
会社の愚痴を会社で言う
指摘はしても、改善の提案ができない

理学療法士4年目で管理職になったわたしがどんな考え方で行動していたかはこちらの記事でまと待ています。管理職で収入上げたい方はご覧ください。
▶︎ 副業で上げる
収入アップには一番おすすめです。私はリラクゼーションセラピストとして月5万円の副業収入を得ていました【詳しくはこちらの記事へ】。ただし、プライベートの時間は確実に減りますし、楽して稼げることはありません。SNSなどの怪しい誘惑には注意しましょう。
▶︎副業で稼ぐ為のスキルアップ
答えはありません。色々なことに挑戦して、試していくしかありません。時間もかかります。ポイントは
- お金をかけないで小さく始める
- 行動する
- 考えて繰り返す
- 楽して稼げる仕事はない

個人事業主としての副業はハードルが高い反面、手に入れることで生活はグッと良くなります!
わたしがしているリラクゼーションセラピストは多くの理学療法士にとって【再現性高く稼げる副業】です。
興味がある方はこちらの記事からぜひチェックしてください。
▶︎ NGスキルアップ!:勘違いの収入アップ法
過去の私は、制度を変えれば理学療法士全体の給料が上がると信じ、連盟活動に数年間取り組みました。熱意はありましたが、自分の収入を上げるという目的においては、非常に遠回りな方法でした。まずは自分の影響が直接及ぶ、手の届く範囲で行動する方が現実的です。
3. ワークライフバランス型のスキルアップ

個人の「スキル」によって、ワークライフバランスの質は劇的に向上します。理学療法士の現場に即して、特に重要な3つのスキルセットをご紹介します。
▶︎ 1. 仕事の効率を高め、「時間」を生み出すスキル
(例:優先順位付け、シングルタスク、計画・段取り)
予約が詰まった中で、カルテ記入やカンファレンスの時間をどう捻出するか。日々の業務で計画力が問われます。
▶︎ 2. 心身の健康を守り、「質」を高めるスキル
(例:セルフモニタリング、思考の切り替え、完璧主義を手放す)
患者さんの重い人生に寄り添う仕事だからこそ、意識的に仕事モードをオフにし、自分を客観視するスキルが必要です。
▶︎ 3. 周囲との関係を円滑にする「境界線」のスキル
(例:上手な断り方、期待値コントロール、頼る・任せる)
自分のキャパシティを超えた要求に対し、代替案を示しつつ誠実に断る力は、自分もチームも守ります。
▶︎ NGスキルアップ!:思考停止と不調和
プライベート優先がNGなのではありません。本当にNGなのは、【思考停止】と【不調和】です。自分のキャリアや周囲への影響を考えずに行動したり、自分の行動がチームや自己成長との間に大きな不協和音を生んでいたりする状態は、健全なバランスとは言えません。
【まとめ】あなただけのキャリアをデザインしよう

ここまで、3つの方向性とその考え方について解説してきました。
大切なのは、キャリアの正解は一つではないということです。20代は専門性と収入を追い求め、30代で家族ができたらワークライフバランスを重視する。このように、ライフステージによってゴールの形が変わっていくのは自然なことです。
他人と比べる必要はありません。この記事を参考に、あなただけのキャリアを、あなた自身の価値観でデザインしていってください。
理学療法士として15年、そのうち10年は管理職として働いています。これまで、本当に多くの後輩たちの悩みを聞いてきました。「このままでいいのかな」その不安、痛いほどよく分かります。
この記事は、そんな後輩たちのリアルな声と私自身の経験が元です。机上の空論ではない、現場からの本音を伝えたいと思っています。
一緒に、あなたの未来の働き方をデザインしていきましょう。